飲食店の原価率の実態を調査 62%の飲食店が現在の原価率が「目標より高い」と回答 〜物価高騰の影響を抑える取組みも〜

飲食店の出店・開業・運営に役立つサービスをワンストップで提供する「飲食店ドットコム」(https://www.inshokuten.com/home/)を運営する株式会社シンクロ・フード(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤代真一、東証プライム市場:3963)は、飲食店ドットコム会員を対象に、飲食店における原価率(※)の現状についてアンケート調査を実施いたしました。 
※原価率:商品価格のうち原価(材料費)が占める割合
  • 本調査について

■調査概要

調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:361名
調査期間:2023年9月11日~2023年9月18日
調査方法:インターネット調査


■回答者について

本調査にご協力いただいた回答者のうち82.8%が2店舗以内の運営店舗です。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は51.5%(首都圏の飲食店の割合は67.3%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。

また、回答者の経営している業態は、「居酒屋(17.2%)」、「ダイニングバー(11.1%)」、「カフェ(8.6%)」を筆頭に、分散されています。

▼経営している飲食店の主要な業態は?(N=361)




  • 調査結果について


■飲食店の原価率は、目標・実績ともに「30%〜35%」が最多


まず、「年間を通して目標としている原価率」と、直近3ヶ月以内の原価率実績について聞いたところ、目標、実績ともに、原価率「30%~35%未満」と回答した方が約3割(目標:39%、実績29%)で最も多く、ボリュームゾーンであることがわかりました。

ただし、実績については、原価率が「35%〜40%」の割合も24.3%と高く、現実は原価率の目標よりも実績が高くなっていることがうかがえます。

▼飲食店の原価率の目標と実績(N=302)


■62%の飲食店が、現在の原価率は「目標に対して高い」と感じている


実際に、現在の原価率に対してどのように感じているかを聞いたところ、「目標に対して、非常に高いと感じている(16.9%)」「目標に対して、やや高いと感じている(45.2%)」という結果になりました。つまり62.1%の飲食店が、目標よりも高いと感じていることがわかります。

一方で、29.1%の飲食店が「ほぼ目標通りと感じている(29.1%)」と回答しており、原価率をコントロールできていることも明らかとなりました。

▼現在の原価率に対して、どのように感じているか?(N=361)


また、「目標に対して、非常に高いと感じている」「目標に対して、やや高いと感じている」と答えた方に、目標原価率よりも実際の原価率の方が高くなった原因を聞きました(複数回答)。圧倒的に多い回答は、「食材価格上昇(96.0%)」、次に「円安影響(輸入品)(44.2%)」という結果になりました。いずれにしても仕入れの影響を大きく受けていることがわかります。

▼目標原価率よりも実際の原価率が高くなった原因は?※複数回答(N=224)


■原価率を抑えるために、68%の飲食店が「商品価格の値上げ」を実施


続いて、原価率を抑えるための対策について聞いたところ、最も多かったのが「商品価格の変更(68.4%)」、次点は「仕入れ価格の交渉・仕入れ先の変更(45.4%)」、「メニュー間での利用食材の共通化(廃棄削減)(34.6%)」、「新規メニュー開発(33.8%)」という結果になりました。

▼原価率を抑える工夫として、取り組んでいることは?※複数回答(N=361)


さらに、原価率を抑える上で、うまくいった具体的な取組みについて聞いたところ、様々な意見が寄せられました。


<商品価格の変更(値上げ)>

・価格改定とドリンク販売が最も効果的だった (東京都/鉄板焼き・お好み焼/1店舗)
・高単価商品(出数が少ない商品)の原価率を高く、低単価商品(出数が多い商品)の原価率を低く設定しバランスをとった。 (東京都/和食/101店舗以上)
・もともと原価率の低い商品を安く売らずに適正価格にすることで大幅に原価を抑えられる (東京都/そば・うどん/2店舗)


<商品量の見直し>

・ポーションの縮小。比較的安い旬の野菜を多目に使う (長野県/中華/1店舗)
・販売価格を10%落としてポーションを20%落とす試みをしている。 (大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)


<仕入れ価格の交渉・仕入れ先の変更>

・仕入れ業者より近隣小売店で買った方が安く同じ食材が入る事がわかり、そちらから購入したこと。1%分削減出来ました。 (東京都/イタリア料理/1店舗)
・大量仕入れによる価格交渉 (東京都/イタリア料理/3~5店舗)
・産直商品を扱い、価格変動を減らす。肉は高騰しているため、魚介や野菜を中心にする) (東京都/イタリア料理/1店舗)
・フレッシュ(生食)を使用していたが、値段が一定でなくなったので、価格変動の少ない海外品や冷凍食材に変更しつつ、原価をおさえたり調整している。 (徳島県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)


<食材の保管方法の見直し>

・食材(牛肉)の管理・管理方法を、小ロットに分割、真空パックの活用、衛生環境の管理、冷蔵庫の庫内温度の管理 などを徹底(大阪府/焼肉/6~10店舗)
・生魚などは専用のラップを使い日持ちさせる (神奈川県/カフェ/1店舗)


<ロス削減>

・食材が古くなる前に調理し小鉢として提供(福岡県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・ロスを出さないように、細かく仕込み量を調整する。 (東京都/カフェ/3~5店舗)
・小分け冷凍や真空保存、仕込量の調整などを駆使して、とにかくロスゼロを目指しています。 (大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)


<新規メニュー開発>

・高額商品のメニュー化 (東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・現在進行形でレシピの見直しからやっています。 (埼玉県/中華/31~50店舗)
・ロスを抑えるための新メニュー開発 (神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)


<セット販売・おすすめメニューやドリンクの販売促進>

・お薦めメニューの変更(原価率が低い物) (東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・利用するメニューを制限したり大いに打ち出して目玉商品にする。(東京都/アジア料理/2店舗)
・メニュー提示時のおすすめトークや盛り合わせの提案 (神奈川県/バー/1店舗)
・希少価値の高いドリンク(限定品のワインなど)を比較的高単価で提供(埼玉県/洋食/1店舗)


<その他>

・品質を維持しつつ食材変更によりスープを改良、材料費を約3割削減(東京都/ラーメン/1店舗)
・ドリンクの注文数を増やす為に、近隣店舗にはないメニューを導入。 (埼玉県/その他/3~5店舗)
・とにかく数字を思い浮かべながら食材を使用している。ストレスが溜まるが、原価率は常に超えないようにできている。 (愛知県/カフェ/2店舗)



■原価率の確認および見直し頻度は「月に1回程度」が最多


次に、原価率をどの程度の頻度で確認しているかについて聞いたところ、「月に1回程度」が48.5%で最多となり、「月に2回程度(18.0%)」、「2-3か月に1回程度(12.2%)」と続く結果になりました。66.5%の飲食店が月に1回以上原価率を確認していることがわかります。


▼原価率の確認頻度は?(N=361)


次に、目標原価率の見直しや打ち手を検討する頻度について聞いたところ、「月に1回程度(34.1%)」、「2-3か月に1回程度(23.5%)」、「4-6か月に1回程度(14.1%)」、という結果になりました。半数以上の飲食店が3か月以内に原価率の見直しや打ち手を実施していることになります。

▼目標原価率の見直しや打ち手を検討する頻度は?(N=361)


最後に、目標原価率の見直し・打ち手の検討を行ったことのある飲食店に対し、原価率を見直したきっかけ・タイミングについて聞いたところ、「食材の仕入れが上がった時」が66.4%と最も多い結果に。物価高騰が目標原価率の見直しに大きく影響することが伺われます。

次点として、「原価率を確認し、目標と乖離した時(49.1%)」、「定期的に行うメニュー見直しの時(44.8%)」と続く結果になりました。

▼原価率を見直すきっかけ・タイミングは? ※複数回答(N=334)


調査結果の引用時のお願い

・クレジットに「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)へのリンク付与をお願いいたします。
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本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
株式会社シンクロ・フード 広報 今西・大木
住所:東京都渋谷区恵比寿南一丁目7番8号 恵比寿サウスワン
TEL:03-5768-9522  Mail:public-relations@synchro-food.co.jp
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